赤ちゃんへ想いが届く、お参りの作法。

2023.09.10

赤ちゃんへ想いが届く、お参りの作法。

インターネットから水子供養のお参りのご予約を頂いた、神奈川県のお方。

メモ欄にご丁寧な挨拶と、図らずも赤ちゃんとご縁が結ぶことが出来ぬ自分を責められ、自責の念に押しつぶされそうなお気持ちが、切々と綴られていました。

本当に辛さが伝わる文面です。

最後にお供養に関わるのは、初めてのことで、失った赤ちゃんのことと同じくらいに、お参りに行くことに対して緊張なされており、お参りの作法も全く解りませんが大丈夫でしょうかとのメッセージが最後に書かれていました。

「心配なさらずとも、少しもお供養へお越しになされ、お参りをなさる事は難しいことではありませんよ」とメールにてお返事を致しました。

当日、お越しの女性は若く、とても落ち着いたお方でした。

玄関でのご挨拶と法要をご依頼なさるその姿はとても真摯な姿勢を感じさせて下さいました。

何時も通り応接にお通り頂き、法要の流れを説明させて頂くこととなりました。

此方を真正面から見据え、説明を本当に真剣にお聞きなされる様子が伝わり、随分と「緊張」なされているのが伝わりましたので、「どうぞ、気楽になされて下さい、そのように緊張頂く必要はありませんよ」と申しあげますと、少し「にこり」となされ、落ち着かれたようです。

ご本人がお申し込みの時から、お供養の作法を心配なされていましたので、お供養の流れを説明させて頂いた後、普段は殊更にお話し致しませんが、本堂での作法を少しお話し致しました。

先ずはお祀り致した、ご自身の地蔵尊へ焼香へいかれる時、私がお勤めを始めましたら席から静かに立ち、先ずは私に向かい、「これからお焼香へ行かさせて頂きますという意味で、合掌、礼拝を頂きます」。

次に静かに正面のご自身の地蔵尊を祀っている台へお向かい頂きます。

台の前に立ちましたら、台の奥に居られる御本尊「千手観音様へ」合掌、礼拝を頂きます。

そして、次に、今度は台の上に祀られた自身のお地蔵さんへ、ご本尊様へ致すと共に「2回」お焼香を頂きます。

次に自身の地蔵尊とご本尊様へ心を込めて、丁寧に合掌、礼拝下さい。

終了致しましたら、そのまま、身体を転じ、私へ向かい、お参りが終わりましたとの想いで、同じく「合掌、礼拝を頂き」、自身の席へ着座下さいと説明を致しました。

その説明をお聞きになられ、随分と安心なされたようです。

実際に法要が始まりますと、きちんと、説明の通り、お参りなされておられました。

何より、ご自身のお亡くなりの赤ちゃんへ想いを届けて下さる、地蔵尊への、合掌礼拝の丁寧さは、間違い無く、お亡くなりの赤ちゃんへ届く「お参りの作法」となっておられました。

無事に法要が終わり、ご挨拶を致しますと、お越しになられた時のお方と別人の如く、にこやかな、優しさが伝わる穏やかなお顔になられていることが、印象に残る法要となりました。合掌